税務関係書類の押印義務の見直しと納税環境の整備

1 税務関係書類における「脱ハンコ」の動き

令和2年12月21日に令和3年度税制改正大綱が閣議決定され、納税者等の押印が求められている国税や地方税の税務関係書類については、一部を除いて、押印義務を廃止する方針が示されました。

これは、納税環境の整備の一環として、行政手続コストの削減や感染症の感染拡大による課題への対応という観点から、税務手続の負担軽減を図るものといえます。

2 税務関係書類についての押印義務は原則廃止

具体的には、納税者等の押印が求められている税務関係書類については、一部を除いて、押印が不要となります(確定申告書、給与所得者の扶養控除等申告書など)。
この改正は、令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用されますが、施行日前であっても、押印がない場合に改めて押印を求められることはないとされています(なお、地方税の税務関係書類については、施行日前において押印が求められる場合があります)。

3 押印義務の見直しの対象外となるものは?

今回の押印義務の見直しの対象外となる税務関係書類としては、下記のものが予定されています。
①担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち実印の押印及び印鑑証明書の添付が求められている書類(抵当権設定登記承諾書など)
②相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類(遺産分割協議書)
これらについては、今後も引き続き押印や印鑑証明書の添付が求められるものとみられます。

また、国税や地方税の犯則調査手続における質問調書や捜索調書等への押印については(国税通則法152条、地方税法22条の24)、刑事訴訟手続に準じた取扱いとされています。

4 まとめ

令和3年度税制改正大綱においては、納税環境の整備の一環として、電子帳簿等保存制度に係る手続の簡素化やスキャナ保存制度の要件緩和などの方針も示されています。
これは、税務関係書類の押印義務の見直しと相まって、税務手続のデジタル化を加速するものであり、今後の税制改正の動きについては引き続き注目していく必要があります。

 

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